そして私はニートになった… その10 やってはいけない事に手を貸す

夜の商売につき、お酒は飲めないがそれなりに勤め上げていた。人材の確保や毎日の収益計算や仕入れ、雑務、なんとか店長まがいの仕事をこなせる様になり、店のスタッフからの信頼も得る事になります。私の前の店長の時は赤字だった店舗が、無駄を無くしたこと、スタッフの営業努力等により、何とか年間を通して赤字にならないところまでは立て直せました。たちの悪いお客を追い出そうとしてボコボコにされたり、盗撮騒ぎで警察沙汰になったり、色々トラブルはありましたが、結果私がスタッフから信頼をえられるいい機会となりました。

しかし、スタッフからの信頼やオーナーからの信頼を得ると、昼の仕事内で金銭に関わる仕事をする事になります。私はお金に関するインチキが大嫌いであり、良くも悪くもあるがままを伝える人間でしたので、金銭面の信用はあったようです。

しかし、問題が発生します。昼の会社の資金繰りがあまり良くなく、売掛はあっても現金が無い状態になるのです、正直自転車操業状態でしたので、銀行からも借りれなかったのでしょう。そこでオーナーから、夜の店の集い、いわゆる組合(組合の集金や支払いも任されていました。)のお金を一時的に出す様に指示されます。これは、会社のお金でもなければ、私が店長をしていた店のお金でもありません。全くの他人から預かっているお金ですので、当然お断りしました。しかし、最終的には必ず戻すと約束した上で、そこからお金をだしてしまう事になってしまうのです。

この事により、私は横領の共犯者になります。すぐお金を戻したとしても他者のお金を自社に流した事実は変わらないのですから…

後ろめたさを抱え、何度もお金を戻す様相談するのですが、結局私がその会社に在籍している間には、そのお金は戻ってきていませんでした(組合のお金の管理を別の職員に引き継ぎ、その後は解りませんが…)

この頃から私は仕事にも嫌気が差し、オーナーと約束していた後任が見つかり次第昼の勤務になる条件も3年間果たされないまま。そして、私自身も横領の件で昼の会社でも働きたくないという意志から、その会社を辞める事を決意します。

無事に、退職がきまりました。夜間の店舗の後任は、私が辞める事を告げてから即オーナーが決めてきましたので、問題なく引き継ぐ事が出来ました。

私も、この時は次の仕事を見つけていましたので、無職の不安はありませんでしたが、横領の後ろめたさだけは、未だに拭えません。



※会社で、ある程度信頼をえると、不正に手を染めることを強要される事もあります。自分が関わらずとも、見てみぬ振りをしてしまった事もあります。会社を守る為の不正だとしても、それは決してやってはいけない事だと思います、不正に手をかしてしまった事、知らず知らずでも不正に関わってしまった事で、その後の人生でも、後ろめたさを残してしまうからです、『卑屈』の原因になり、また、人間不信や引きこもりへと繋がってしまうからです。

もし、あなたに不正の呼びかけをする人間がいたら、それは、信頼からではありません。体よく利用しようとしているだけです。確固たる意志を持って断る、若しくは苦言を発する。その事により、人間関係が壊れるなら、それは、壊れてしまっていい人間関係です。